平素はひとかたならぬ御支援とお付き合いを賜りありがとうございます。
先日6月30日をもちまして無事に桜ライン311は期末を経て、7月1日より法人としての7期目を迎えることが出来ました。東日本大震災から時間が過ぎゆく中で今もこうして活動を続けられることは大変ありがたいことであり、同時に大変多くの皆さまからご期待を預かっているということでもあります。改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。
日本全体が大きな悲しみに包まれたあの日、私は東京で勤務の最中でした。家族や友人の安否を確認するために陸前高田に戻り、友人が数多く避難していた避難所の運営のボランティアを始めたのがそもそもの私の関わりの始まり。その活動の中で桜ライン311の初期のメンバーたちと出会い、この団体の立ち上げに参加させていただきました。2013年7月からは団体を預かる身となり今に至ります。
東日本大震災は「私たちの危うさ」を改めて突きつけました。7月上旬には九州北部にて記録的な豪雨となり、34名の方が亡くなり、今も行方不明の方がいます。100年に1度の災害も、東日本大震災のように1,000年に1度の災害も、それは等しく生活の中に潜んでいます。日本は災害大国ゆえに、災害に対する技術が高度に発達した国です。しかし一方でそのことは災害に対しての危機意識を下げる側面があることを忘れてはいけません。私たちの知っている過去最大は、把握できている最大でしかありません。そのことを忘れずに、その瞬間に自分で判断し行動できるか、それが生死を分けます。私たちと同じ思いをして欲しくないからこそ、経験した私たちだからこと伝えられる言葉で、災害の経験もない方に伝えていくことが私の使命だと思っています。
しかし今のままではこの組織は消えて無くなっていくでしょう。時間の経過というものは、静かに無情にも風化を推し進めていきます。組織運営においてもさらに進化していなければ、「私たちは悔しいんです。」と掲げた言葉は消えていってしまう。震災から6年経ってまだやっているの?そう言われることも残念ながらあります。復興に関わるニュースも報道されなくなってきたこともあり、もう復興し新しい街ができているのだと思われている方が多いのも、無理のないことかもしれません。一方で陸前高田では今も4割の方が仮設住宅に住み続け、中心市街地の再生はこれからが本番です。そして多くの方が今も悲しみの中で暮らしています。
桜を植えることは震災の痕跡を意図的に残すこと。家族が失われ、そのことを思い出したくない人にとって、理解はできても参加できない心情が今もあることは一つの事実です。重ねて復興工事や区画整理事業が終わらなければ植えられない場所も多々あります。桜ライン311は植える期間として概ね20年、そしてその後の伝承と長い時間が必要なものです。植える期間だけで考えても20年のうちの7年目はまだ折り返しにすらなっていません。私たちが目指す「伝承」のゴールは簡単なものではない。だからこそもっと明確なビジョンを言葉にし、伝える術を持ち、より多くの方に理解と参加をしてもらえるものでなければなりません。
桜ライン311は、私たちの思いだけではなく、多くの人の命が失われたことから生まれ、多くの方が共感し支えてくださっているからこそ、この団体の価値があると思っています。そのことを形にしていくために、今年は大きな変革の時期になります。住民の皆さまと全国の皆さまと完成に向け歩み続けてまいります。
是非引き続きのご理解とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ新年度のご挨拶とさせていただきます。
認定特定非営利活動法人 桜ライン311 代表理事 岡本翔馬 理事・事務局一同