日本中が大きな悲しみに包まれた東日本大震災から6年を迎えました。
今年の浄土寺です。
想定外と言われた東日本大震災は、
津波堆積物の年代比較調査により1,100年前にも同規模の
津波が発生し被害を受けていたことが分かりました。
もしこのことが生きた知識として残っていたのなら、
本当にこれだけの人がなくなることはなかったのではないか。
「私たちは悔しいんです。」
私たちと同じ思いを後世にさせないために、
市内の有志が集い、津波の到達地点に桜の木を植え
災害を伝承する桜ライン311がスタートしました。
陸前高田市内の津波の到達地点は170kmに及びます。
そこに10m間隔で桜を植え、
災害文化として残していくことで次の世代の命を守ること。
そしてその過程に多くの方に参加してもらうことで、
直接的に被害を受けた人だけではなく、
災害の記憶を伝承することを目指しています。
記憶も、悔しさも、教訓も、そして未来への思い、
全ての人が意味を持てる東日本大震災にすること。
それこそが私たちの目指す伝承だと思っています。
桜の植樹本数は市内232箇所、1,115本の植樹本数となりました。
その植樹にはのべ3,675名の方に参加していただきました。
私たちの原動力は「悔しさ」ですが、それが全てではありません。
ここまで続けることができたのは、
私たちに共感し共に歩んで来てくれた皆さまがいるからです。
土地の提供をしてくださっている住民の皆さま、
共に地域で植樹をしてくれる子供たち、
全国から植樹会に参加してくださいる皆さま、
苗木を提供してくださる皆さま、
私たちの理念を応援してくださってる皆さま。
そして数字には現れない数多くの皆さまと共に歩み、
伝承に取り組めていることを私たちは一つの財産だと思っています。
多くの人の命が津波により失われ今も行方不明の方も多くいます。
陸前高田だけではなく東北に思いを寄せていただけることは
大変心強くありがたいことです。
一方でかならず省みて欲しいのは、
ご自身の生活の中に災害への備えはあるか?ということです。
日本は世界的にも稀な災害多発国であり
東日本大震災のような災害はまた必ず起こります。
その時に失われる命をいかに少なくできるかが
災害の伝承がなされているかを示していると思います。
3月11日は祈る日でもありますが、
ともに災害についての備えを改めて考える日でもあって欲しい。
あの日から6年、街の姿は変わっていきます。
瓦礫だらけだったこの場所はかさ上げが進み、
今年の4月末には最初の建物がオープンします。
一方で多くの方が今も仮設住宅に住み、
取り残されているとも感じている方も多くいます。
震災の痕跡は日に日に姿を消していきますが、
人々の心に深く刺さったままです。
陸前高田の、東北の復興は道半ば、
東日本大震災はなお今も続いています。
しかし私たちがそう感じるように、
東日本大震災で生まれた「縁」が
明日を生きる力だと感じる瞬間も間違いなくあると思うのです。
その縁を陸前高田の未来に繋げ、
私たちの願いである次の世代の命を守るだけではなく、
多くの人が繰り返し関わりたいと思えるまちづくりにも
この桜ライン311がお役に立てるように育てていきたいと思っています。
更に多くの人たちが参加したいと思えるものに育てていくことが、
災害の伝承に繋がると私たちは信じています。
17,000本という目標に向け
これからも多くの皆さまと共に歩んで参りたいと思っております。
東日本大震災で亡くなられた全ての方のご冥福をお祈りして。
認定特定非営利活動法人 桜ライン311
代表理事 岡本翔馬 理事スタッフ一同
3月、松阪市三雲地域の小中学校では、震災についての授業をしました。市内の学校では、半旗が掲げられていました。1年生の教室で、ハナミズキの道の絵本を読み、高田の写真集を見せると、「同じや」と絵本の町と見比べていました。七夕祭りや桜ラインのお話もしました。南海トラフの地震に備え、今年度、児童数のライフジャケットをPTAで買いました。「祈りとともに、自らの生活をふりかえる。」その心を受け取っている人は、全国にたくさんいると思います。遠く離れていますが、高田の市民のみなさんにとってのよりよい復興を心より願っております。