東日本大震災から14年となりました。
私たち桜ライン311の最初の植樹地である浄土寺の今日の景色です。
「私たちは悔しいんです。」
2011年8月、東日本大震災は未曾有でもなく想定外でもなく、およそ1,000年に一度の頻度でこの地域を襲う周期的な災害だという報道がありました。その報道を見た時に、私たちの胸に込み上げてきたものは「悔しさ」でした。もし18m近い津波がこの街を襲う可能性があると分かっていたのなら、これだけの命が失われることはなかったのではないか。
次の東日本大震災は必ずやってきます。時間による風化を防ぎ、その時にこの地域に住む人々の命を守りたい。そのために津波の最大到達地点に桜を植え、後世に避難の目標として伝え残していきたい。
こうして私たちの桜ライン311は2011年10月に始まりました。その総延長は170km。陸前高田市内の最大津波到達地点に10m間隔で桜の木を植え、17,000本の桜並木を後世に伝えることを目標にしました。同年11月に植樹を開始、地域の住民の皆さまに加えて、全国の皆さまから共感とご尽力をいただきました。現時点で455箇所、植樹本数は2,333本、植樹事業への参加者は累計9,627名となりました。
この14年余り、17,000本という目標に向け活動を続けられたことに感謝しかありません。まもなく植樹参加者が累計で10,000人を超える見込みです。初回から最近まで参加してくださった皆さまの顔が思い浮かびます。本当にありがとうございます。
また、2月26日には陸前高田市の隣町である大船渡市において、大規模な山林火災が発生しました。その前日には陸前高田市でも山林火災が発生したことで、ご心配をおかけし多くの方からお声をかけていただきました。ありがとうございます。3月9日に鎮圧の発表となり、10日には全エリアの避難指示が解除になりました。一方で鎮火に至るまで消防の方々のご尽力は続きます。また鎮圧に至るまでの11日間で、延べ20,000人近い応援体制が組まれました。陸前高田市は支援の中継地点として、日本全国からの消防車両とヘリコプターの拠点となっています。東日本大震災の時と同じ、あの雰囲気を多くの方が感じたと思います。そして大船渡市民の中には、この3月11日を避難所や親戚・知人宅で過ごさざるを得ない方がいることに大変心が痛みます。被害状況はこれから詳細な調査になりますが、14年前の震災で全壊し、今回の山林火災で再び焼失された方もいると思います。当団体としても早々に義援金の口座設置を行い、募金箱の設置をさせていただいております。今後、ボランティアセンターの運用開始や、さまざまな支援活動が開始されることと思います。被災された方に「独りじゃないよ」と伝わるように、できることがあれば積極的に参加したいと思っております。
14年という月日は短いものではありませんが、それでもあの日の悔しさが晴れることはありません。これは私たちの変わらない原動力です。一方でその悔しさを包みこむように、共に行動し続けてくださる方々が全国にいます。震災への思いはそれぞれでも、“あの日の教訓を忘れてはいけない”という思いは共通です。地権者さまや地域の皆さま、足繁く植樹に参加してくださる皆さま、そして個人・法人の寄附者の皆さまがいます。この事業を推し進めようと尽力してくださる方が数多くいることは私たちの誇りであり、もう一つの原動力です。改めて心より御礼申し上げます。
そして例年お問合せをいただく開花時期ですが、今年の桜も暖冬傾向により桜の開花が少々早まりそうです。ご好評をいただいている満開のライトアップについては、開花状況を見定めて日程を決定したいと思っております。事務局でも浄土寺を中心に、それぞれの品種の開花状況の把握に努めておりますので、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
桜の花が春に固い蕾を開くように、減災の意識が多くの人に根を張り、花を咲かせる日が来ることを信じて歩み続けてまいります。
最後になりますが、東日本大震災で亡くなられた全ての方のご冥福をお祈りいたします。
そしてこの日が今を生きる人々にとって生き方を見つめ、大切な人を思う日であってほしいと心から願っております。
認定特定非営利活動法人 桜ライン311
代表理事 岡本 翔馬
理事・スタッフ一同
※なお本日3月11日は、スタッフそれぞれが東日本大震災と向き合う日として業務はお休みいたします。よろしくお願い致します。