法人第15期開始のご挨拶


2011年10月、「私たちは悔しいんです。」という言葉から始まった桜ライン311は、本日7月1日をもって、法人として第15期のスタートを迎えました。仮設住宅の小さな集会所から始まったこの活動がここまで続けてこられたのは、ひとえに皆さまのご支援・ご声援のおかげです。心より感謝申し上げます。組織を預かる立場として、期の区切りである期首・期末はいつも気持ちが引き締まります。続けることの難しさとその中で見出す喜びを感じながら歩んできた14年間でした。

東日本大震災の被害の多くは津波によるものでした。未曾有とされたこの災害も、現在では地質学上周期的に発生することが明らかになっています。もし震災前に過去の津波被害が広く知られていたら、救えた命がもっとあったのではないか、これが私たちの原点にある「悔しさ」です。次の災害で人的被害をどれだけ減らせるか。それこそが、東日本大震災の教訓を後世に伝えられたかどうかの試金石だと考えます。そのための「伝承」を続けていくことが、私たちの使命です。

「災害で生まれる悲しみを2度と繰り返さない未来を創る。」このビジョンのもと、私たちは陸前高田市内の津波到達点に桜を植え、その意味を後世へ伝える活動を続けています。震災を経験していない人々にもこの活動に参加していただき、災害を「他人事」(ひとごと)ではなく「自分事」として捉えていただくこと。そして、いざという時にこの桜並木より高い場所へ避難し、人的被害を軽減すること。これが設立時から変わらない私たちの願いと覚悟です。

2011年10月に任意団体としてスタートし、翌2012年5月に法人化。2014年5月には認定NPO法人として活動を続けてまいりました。これまでに植樹事業には9,903名が参加し、2,370本の桜が植えられました。460名を超える地権者さまのご理解とご協力、そして全国の皆さまからの共感とご支援が、私たちの活動の大きな力となっています。

今年の2月、春の植樹会直前に隣町・大船渡市で山林火災が発生しました。当団体も開催中止を検討しましたが、最終的に「止めない」という判断をし実施しました。この決断は、防災・減災の視点から災害について考えるきっかけを作れるのではないかという思いからです。昨年は能登半島での地震、豪雨被害が相次ぎました。特に豪雨の頻度は増しており、災害への備えを日常化することが必要だと痛感しています。
また、火災を受けて約3か月間にわたり実施した緊急募金活動では、皆さまから110万円を超える義援金をお寄せいただき、大船渡市へお届けいたしました。ご協力いただいた皆さまに、改めて感謝申し上げます。

ここ数年、新しい参加の形として、大阪マラソンや草木染め、桜ライン散策会、植樹地への看板設置、ライトアップなど植樹事業以外にも多様な取り組みを進めてきました。時間が経つほどに「伝えること」の重要性は増しています。

第15期もより多くの方に共感し参加していただける事業となるよう、改善と進化を重ねながら邁進してまいります。引き続きご指導とご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

認定特定非営利活動法人 桜ライン311 代表理事 岡本 翔馬
役員・事務局一同

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